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2026年08月22日 18:00

ボイスメモをリアルタイムで文字起こしする方法と限界

執筆: Takumi(Memolith開発者)
メモリスメモリスによる要約
  • iPhoneとPixelは録音中にその場で文字起こしを表示できるが、Galaxyや専用デバイスの多くは録音後の処理になる
  • 文字起こしのリアルタイム化が進んでも、決定事項やToDoまで整理する要約は録音後の処理でしか実現できていない
  • 会議中は文字起こし画面を追わず会話に集中し、録音後にAIへまとめて渡す方が、決定事項を漏らさず拾える

会議中、画面に文字がその場で流れていくのを見たことがある人は多いはずだ。誰かが話すそばから言葉がテキストになっていく。まるで字幕付きの映画のようで、一度見ると「自分のボイスメモもこうならないか」と思う。

実は、もうなる。iPhoneもPixelも、録音しながらその場で文字起こしを表示する機能をすでに持っている。特別なアプリを入れる必要すらない。

ただ、話はそこで終わらない。文字起こしがその場で出てくることと、会議の議事録として使える形に整うことは、別の問題だからだ。

リアルタイムで文字起こしできる端末は、もう存在する

iPhoneのボイスメモは、録音中に波形の上部を上にスワイプすると、話した言葉がその場でテキストになって表示される。今しゃべっている単語がハイライトされる様子は、ちょっとした字幕体験に近い。対応機種はiPhone 12以降で、Apple Intelligence非対応の機種でも無料で使える(詳しい対応条件はiPhoneのボイスメモをAIで要約する方法にまとめている)。

Androidでは、Pixelの標準「レコーダー」アプリが同じことをする。録音と同時に、通信を使わず端末内でテキスト化が進む方式で、電波の届かない場所でも動く。Web会議ツールの中には、通話中にリアルタイムで字幕を出すサービスもある。

つまり「録音しながらその場で文字が出てくる」こと自体は、もう珍しい技術ではない。ここまでは、素直に便利な話だ。

「要約」までリアルタイムにできるツールは、実は無い

厄介なのはここからだ。文字起こしがその場で出てくることと、それが議事録として使えることは、まったく別の話になる。

iPhoneの要約機能は、Apple Intelligence対応機種(iPhone 15 Pro・15 Pro Max、iPhone 16シリーズ以降)に限られるうえ、録音中には動かない。録音を終えたあと、文字起こし画面で作文ツール(Writing Tools)を自分の手でタップして、はじめて要約が生成される。Pixelの要約も同様で、Pixel 8以降のレコーダーアプリに搭載されているが、こちらも録音後に実行する機能だ。Galaxyの「文字起こしアシスト」に至っては、文字起こし自体が録音後の処理になる。録音した音声を選んで実行すると、ネット経由でテキストに変換される仕組みで、そもそもその場では表示されない。

つまり、文字起こしのリアルタイム化はここ数年でかなり進んだが、「決定事項は何か」「誰が何をやるか」まで整理された、使える要約をその場で出せるツールは実質存在しない。 これは技術力の差というより、処理の性質が違うからだと思う。文字起こしは「今しゃべった言葉を、そのままテキストに変換する」作業で、1文ずつ完結する。一方、決定事項やToDoの抽出は「会話全体を見渡して、どこが結論だったかを判断する」作業になる。話が二転三転したあとで「結局さっきの案で決まった」ということは、会議ではよくある。その場の1文だけを見ていては、判断しようがない。

専用デバイスも、同じ設計だった

ここで気になるのが、PLAUDのような専用のAIボイスレコーダーだ。あれだけ多機能を謳うハードウェアなら、リアルタイムで何かを表示していても不思議はないと思っていた。

実際に公式サイト(plaud.ai)を確認してみると、予想とは少し違った。PLAUD NOTE Proの本体には「InstantView Display」という小型ディスプレイが搭載されているが、公式の説明を見る限り、これは録音時間やバッテリー残量など録音の状態を示すためのものらしい。「Proud to show its face — InstantView AMOLED display means you're always aware and in control(いつでも状態を把握し、コントロールできる)」という文言はあっても、文字起こしをその場に表示する機能としての説明は見当たらなかった。文字起こしと要約は「Plaud App・Plaud Web・Plaud Desktopに同期」して受け取るものとして紹介されている。

専用のハードウェアを持ち出しても、結局たどり着く設計は同じらしい。録音はその場で、文字起こしと要約はあとから。

録音後処理のほうが、実は都合がいい

会議中にその場で文字起こしが流れてくる画面は、便利そうに見えて、意外と扱いが難しい。話しながら画面を確認する余裕は、そもそもあまりない。誤変換に気を取られて、次の発言を聞き逃すこともある。文字起こし自体の精度も、雑音や早口の重なりが多い会議では落ちやすい。

決定事項やToDoの抽出をその場でやろうとすると、この問題はさらに大きくなる。会話が着地する前に「結論」を判定しようとすれば、当然誤判定が増える。誰が何を言ったにせよ、会議が終わってから「結局何が決まったか」を確定させたほうが、精度は上がる。録音後にまとめて処理する設計は、性能の妥協ではなく、決定事項を正確に拾うための選択に近い。

メモリスは、録音後処理を選んでいる

私が開発しているメモリスも、会議中にその場で字幕を出す機能は無い。録音を終えたあとにAIへ渡し、数分後に文字起こしと要約が届く方式だ。決定事項やToDoの抽出も、認識ずれが起きやすい箇所の検知も、すべて録音を終えたあとの処理として行っている。

会議中は、画面を気にせず会話に集中できる。録音を止めた時点で、あとの仕事はAIに任せられる。文字起こしのリアルタイム表示に憧れる気持ちはわかるが、議事録として使いたいなら、その場で見る画面よりも、あとで届く整理されたテキストのほうが結局早い。

まとめ:リアルタイムで進化しているのは「文字起こし」だけ

  • iPhoneとPixelは、録音中にその場で文字起こしを表示できる。Galaxyや専用デバイスの多くは録音後の処理になる
  • 決定事項やToDoまで整理する「要約」は、どのツールでも録音後の処理として提供されている
  • 会議中は文字起こし画面を追わず会話に集中し、録音後にAIへまとめて渡す方が、決定事項を漏らさず拾える

リアルタイム性で選ぶなら、その場の文字起こしまでは今のスマホでも十分手に入る。その先、議事録として使える形まで求めるなら、メモリスの無料トライアルで、録音を渡すだけの体験を確かめてみてほしい。

あわせて読みたい:

よくある質問

ボイスメモをリアルタイムで文字起こしできますか?

端末によります。iPhoneは録音中に画面をスワイプするとその場で文字起こしが表示され、Pixelのレコーダーアプリも通信を使わず端末内でリアルタイムに処理します。一方Galaxyの文字起こしアシストは録音を終えてからネット経由で変換する方式で、その場では表示されません。

PLAUDのような専用デバイスもリアルタイムで文字起こしできますか?

公式サイト(plaud.ai)を確認した限り、PLAUD NOTE Proのディスプレイ(InstantView Display)は録音時間やバッテリー残量などのステータス表示用で、文字起こしをその場に表示する機能としての記載は見当たりませんでした。文字起こしと要約は、録音後にPlaud App・Plaud Web・Plaud Desktopへ同期して受け取る設計です(2026年8月時点・公式サイトで要確認)。

リアルタイムで議事録を作れるAIボイスメモアプリはありますか?

メモリスにはその機能はありません。会議中にその場で字幕化・文字起こしする機能はなく、録音を終えたあとにAIへ渡し、数分後に文字起こしと要約が届く方式です。決定事項やToDoまで整理する処理は、会話の全体を見渡せる録音後だからこそ精度が上がる、という設計上の理由があります。

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