
- Otonotaは既定で音声も文字もMacの外に出さない無料アプリ
- 例外は無料版のApple Speech利用時と、Proでクラウドを有効にした場合
- 音声を外に出せるかで、オンデバイス型とクラウド型を使い分ける
Apple シリコン Mac向けの会議アシスタント「Otonota」が、Mac App Storeで無料配信されています。公式サイトによると、録音しながら文字起こしと要約が同時に進み、既定では音声も文字もそのMacから出ていかないとのことです。アカウント登録はなく、対象はmacOS 26以降のApple シリコンMac(M1以降)です。
処理は、Appleの音声認識とApple Intelligence、またはMac内で動くAIモデル(WhisperKitやMLX)が担います。ネットワークを使わないので、社外秘の打ち合わせや取材、診療や法律相談の記録のように音声をクラウドに出せない場面でも使え、機内でも動くと案内されています。メモリ8GBのMacBook Airでも標準エンジンで動き、16GB以上ならより大きなオンデバイスのモデルを選べます。
「出ない」には例外がある
音声が外に出る場合も、公式サイトに明記されています。無料版では1つだけで、文字起こしにApple Speechを選び、その言語のオンデバイス認識がMacで使えないとき、macOSの標準機能として音声がAppleのサーバーで認識されることがあります。Apple Intelligenceの文字起こしかWhisperKitを選べば避けられると案内されています。
有料のPro(買い切り、参考価格は日本で税込¥7,800)では、自分のAPIキーを入れてクラウドの音声認識を有効にすると音声がそのプロバイダに送られます。クラウドの言語モデルを有効にした場合に送られるのはテキストだけです。どちらもユーザーが明示的に切り替えたときだけの動作です。
読者の業務にとっての意味
この発表で変わるのは、音声を外に出せないという理由で記録を諦めていた場面に、無料の選択肢が加わったことです。従来はクラウドに送れないなら手書きのメモで済ませるしかなかった会議でも、文字起こしと要約を残せる余地が出てきます。一方で、対象はApple シリコンのMacに限られます。Windows版の予定はないと公式サイトに書かれています。
見解:選ぶ基準は精度より先に「音声の行き先」
結論から言うと、録音ツールを選ぶ最初の基準は、文字起こしの精度や機能数ではなく、音声がどこへ送られるかに置くのが妥当です。精度の差は後から試して比べられますが、いったん外部に送った音声は取り戻せないからです。
Otonotaの場合、確認すべきは「既定でMacの外に出ない」という点だけでは足りません。上で見たとおり、無料版でもエンジンの選び方次第で音声がAppleのサーバーに渡る場合があります。機密性の高い会議で使うなら、録音前に文字起こしエンジンの設定を確認し、Apple Intelligenceの文字起こしかWhisperKitに固定しておく運用が安全です。設定を会議のたびに確認するのは面倒ですが、確認を怠ったときの損失のほうが大きいはずです。
もう一つの結論は、案件ごとにオンデバイス型とクラウド型を使い分けるのが現実的だということです。どちらかを全社的に一本化しなくても、守秘義務の重い会議はMac内で完結する方式、それ以外は手元のスマホで録って後で処理する方式、と分ければ足ります。
後者の例が、メモリス(AIボイスメモ)です。スマホで録音した音声をAIに渡すと、録音後の処理で数分後に文字起こしと要約が届きます。処理が終わると音声データは自動で削除されますが、処理自体はクラウド側で行うため、音声を外に出せない場面には向きません。思いつきや社内の定例のように外に出せる音声はAIボイスメモ、出せない音声はMac内完結のツールと、音声の性質で振り分けるのが筋です。
なお、Apple Intelligenceが使える機種の条件はSiri AIの対応機種の記事にまとめています。Otonotaを使う前の確認材料になります。




