
- LINE WORKS調査で会議記録の86.1%はWeb会議ツールの記録機能、高度活用は26.1%にとどまる
- 専用ツール利用者は業務改善への活用が41.9%、Web会議ツール利用者の14.7%を上回る
- 活用に必要な機能は文字起こし精度向上44.4%、自動要約32.8%が上位
LINE WORKS株式会社が全国の会社員・個人事業主1,106人を対象に実施した「会議・対話の記録方法と活用実態に関する調査」で、会議データを業務改善や意思決定の分析、研修・教育、社内ナレッジ蓄積といった「高度活用」に取り組む企業は26.1%、4社に1社にとどまることがわかった。調査はインターネット調査で、LINE WORKSの発表によると2026年7月7日から12日にかけて行われている。
会議の記録方法としては「WEB会議ツールの記録機能」が86.1%で最も多く使われている。一方でAI議事録ツールなどの「専用ツール」の利用は20.7%にとどまり、ボイスレコーダーの21.2%とほぼ横並びだった。手書き・手入力による記録も30.6%と、依然として一定の割合を占めている。
この調査が示しているのは、会議の「記録」と「活用」のあいだにある落差である。多くの職場では会議を録画・録音するところまでは自動化が進んだが、そのデータを確認・共有の域を超えて使いこなす企業はまだ少数派にとどまる。確認・共有目的の活用が全体の68.9%を占めるのに対し、業務改善や研修への転用まで踏み込む企業は4分の1程度という構図だ。ITフリーランス調査でも、AIを使えば作業は速くなるのに成果の評価にはつながりにくいというギャップが報告されており、「導入はしたが活用しきれていない」構造はAIツール全般に共通する課題として見えてくる。
専用ツール利用者に限ると様相が変わる。業務改善や意思決定の分析への活用は専用ツール利用者で41.9%、Web会議ツール利用者の14.7%を上回る。研修・教育用途でも専用ツール利用者が40.6%、Web会議ツール利用者は10.9%にとどまる。会議の記録が録画データという「映像」のまま残るか、文字起こし・要約という検索・再利用できる形に変換されるかで、その後の使われ方が分かれていると読み取れる。議事録として振り返るだけでなく、会議以外の思いつきや作業メモも同じように資産化したい場面では、メモリスのようなAIボイスメモが、録音を後からAIに渡して文字起こし・要約する使い方として選択肢になる。
調査で目を引くのは、記録したデータをさらに活用するために必要だと感じる機能の内訳だ。最多は「文字起こし精度の向上」で44.4%、次いで「内容の自動要約・要点整理機能」が32.8%、「話者分離機能(誰による発言か区別する機能)」が22.6%と続く。つまり現場が求めているのは新しい記録手段そのものではなく、すでにある記録を検索・共有できるテキストに変換する精度である。これは音声認識モデルの改善と地続きの課題で、Microsoftの文字起こしAIのような新モデルの精度向上が、そのまま「活用できるデータ」の量を左右する構造になっている。
もう一つ見えてくるのは、記録の対象範囲自体が活用の幅を規定しているという構造だ。記録対象とする会議・対話の種類数は、専用ツール利用者が平均7.9種と最も多く、ボイスレコーダー利用者が4.3件、Web会議ツール利用者が3.6件にとどまる。Web会議ツールの記録機能はオンライン会議の画面上でしか動かない設計であるため、対面の商談や雑談、移動中の思いつきといった、Web会議の外で生まれる情報はそもそも記録の対象から漏れやすい。Web会議ツールで会議を記録している人の約3割(27%)が専用ツールを併用しているという結果は、この漏れを埋めようとする動きとして理解できる。記録の入口をWeb会議に限定せず、対面のやり取りや音声メモまで含めて広げることが、高度活用に踏み込む企業を増やす次の一歩になりそうだ。




