有料プラン(3カ月分)を無料プレゼント中!詳しく見る
App IconMemolith
2026年08月04日 20:50(最終更新: 2026年08月28日

Rokidのスマートグラスが日本で一般発売、Makuake歴代1位の6億円が示す「記録するメガネ」への期待

更新履歴を見る
  • 2026年08月28日内容の誤りを訂正しました(会議メモ機能の録画表示に関する記述を修正)
  • 2026年08月28日内容を大幅に加筆・改稿しました(Rokid公式の価格・仕様情報を追加)
執筆: Takumi(Memolith開発者)
メモリスメモリスによる要約
  • Rokid スマートAIグラスが7月10日に日本で一般発売。価格は109,890円(税込)
  • Makuakeでの応援購入総額は6億3,673万円で、5万件超のプロジェクト中で歴代1位を記録した
  • 会議の音声を録音・文字化する「会議メモ」機能は、カメラのLEDと違い録音中の表示が無い

会議を記録する道具は、だんだん身につけるものに寄ってきている。スマホをテーブルに置く動作すら省けるなら、そのほうがいい——という理屈はわかる。ただ、実際にかけてみると話は単純ではないらしい。

Rokid スマートAIグラスは、2026年2月26日から5月30日までMakuakeでクラウドファンディングを実施し、応援購入総額6億3,673万円を集めた。これはMakuakeに集まった5万件を超えるプロジェクトの中で歴代最高額で、2021年6月以来の記録更新だという(Makuakeの発表)。一般発売は7月10日から始まった。価格はRokid公式サイトで109,890円(税込、Rokid公式サイト)。Makuakeでの先行購入価格は79,990円からで、実売より3万円ほど安く設定されていた。ITmedia NEWSの小寺信良氏はこの製品を1週間ほど借りて使い、実機レビューを公開している

AIグラスは3つに分かれる

現在「AIグラス」と呼ばれる製品は、大きく3つに分かれる。

  • ディスプレイとカメラの両方を搭載するもの(Rokid スマートAIグラス)
  • カメラは搭載するがディスプレイは持たないもの(Ray-Ban Meta、Oakley Meta)
  • ディスプレイは搭載するがカメラは持たないもの(Even Realities)

記録という観点だと、この3分類はそのまま役割の違いになる。カメラがあれば場の映像を残せるが、周囲から見て「撮られている」状態になる。ディスプレイがあれば字幕や通知をその場で受け取れるが、記録そのものには寄与しない。

Rokidは日本市場にディスプレイ付きのハイスペックモデルを投入しており、ディスプレイを搭載しない下位モデル「Rokid AI Glasses Style」は国内未発売だ。本体重量は約49gで、メガネとして違和感のない重さに抑えられている。カメラは1,200万画素・画角109度、翻訳は89言語に対応する(うち8言語は通信なしでも動くオフライン翻訳、Rokid公式仕様)。AIアシスタントはChatGPTとGeminiから選べ、「Hi Rokid」と話しかけると会話が始まる仕組みだ。

かけたときの現実

ディスプレイはグリーンの単色で、両眼で見ると目の前5mほどの位置に文字が浮かんで見える。輝度は15段階に調整できる。

近視の人はその距離の文字が見えないため、別途視力矯正用のレンズが必要になる。しかもこのレンズはメーカーごとの特注品で、機種を乗り換えるたびに2万〜4万円の追加投資が発生するという。メガネとしては1サイズ1カラー、色は黒でデザインも1種類。黒縁の太いメガネをかけている人自体が最近は少ないため、使用者を見分けるのはそれほど難しくなさそうだ。

グラス側にも「会議メモ」という機能がある

AIグラス上で選べる機能には、翻訳・字幕・テレプロンプター・音楽再生・カメラ撮影・VisionAI(カメラに写ったものをAIに尋ねる機能)がある。スマートフォン側の専用アプリからは、ノート・ナビゲーション・ライブ配信に加えて「会議メモ」という機能を呼び出せる。しゃべっている内容を録音し、そのまま文字に起こす機能だ。

ここで見過ごせない仕様がある。カメラで写真や動画を撮る場合は、撮影のたびにボタン操作が必要で、カメラ横のLEDが点灯する。動画なら点灯しっぱなしになるため、周囲の人にも「撮られている」ことがわかる。ところが会議メモは音声だけを拾う機能で、録音中にメガネ側で何かが光るわけではない。カメラには一応の合図があるのに、会議の音声を丸ごと記録する機能には合図が無いという非対称が、この製品にはある。

スマートグラスをめぐる話題は、カメラをどう物理的に遮断するかという対応策に向かいがちだが、それは動画・写真側の対策にすぎない。会議メモのように音声だけを拾う機能には、そもそも遮断すべきレンズもLEDも存在しない。しかもカメラ側のLEDにも抜け道はある。Gizmodoの報道によれば、Rokidのスマートグラス向けに録画ランプを覆うシールがオンラインで販売されており、光を隠してもセンサーが反応せず録画を継続できてしまうという。合図がある機能ですら完全ではなく、合図が最初から無い機能もある、というのが実情に近い(会議メモの無表示に関する上記の指摘は、ITmedia NEWSの小寺氏が実機を使って確認した内容による)。

記録の道具として見ると

会議の記録に限れば、いま解くべき問題はハードウェアの側にあまり無い。スマホは全員が持っていて、録音ボタンを押すだけで音声は残る。メモリスも、スマホで録音した音声をAIに渡して議事録を作る仕組みで、専用デバイスを必要としない。

それでもAIグラスが期待を集めるのは、記録という行為を意識から外せるからだろう。テーブルにスマホを置く、録音を開始する、終わったら止める。この数秒が消えることに6億円を超える応援購入が集まったと考えると、金額の意味が変わって見える。

ただしこれは同時に、意識しないまま録音されてしまう側のリスクでもある。Rokid自身が用意した会議メモ機能に録音インジケーターが無いのは、便利さを追求した結果が透明性の後退につながった一例と見ることもできる。

会議での導入を考えるなら

論点は2つに分かれる。

ひとつは、いま優先して試すべき用途の見極めだ。前述の通り現行モデルはサイズ・カラーとも1種類しかなく、近視の人は矯正レンズも要る。会議の記録ならスマホと専用アプリの組み合わせで摩擦はすでに小さく、そこにAIグラスを重ねる緊急性は薄い。両手がふさがる現場作業や、機材の操作手順を自分の視点でそのまま記録したい一人作業など、人ではなく作業対象を写す場面から優先的に試すほうが、いまの完成度に見合っている。

もうひとつは、同席者から見た透明性だ。前述の通り、会議メモが使う音声録音にはカメラのLEDのような合図が無い。この空白を機器の設計任せにするのではなく、会議を主催する側が運用でふさぐしかない。録音を始める前に一言添える、議事録作成が目的だと参加者へあらかじめ周知しておく——ハードウェアの合図を当てにしない習慣を、AIグラスに限らず録音を伴うツール全般に広げておいたほうがいい。

Rokidのグローバル広報・ブランド責任者を務めるBen Liu氏は、7月8日の発表会でのインタビューに対し「現時点でメガネは、人間の感覚器官である目と耳、そしてしゃべる口の3点にアクセスできるもっとも優れた形態であるため、今後5〜10年は主流であり続けると思います」と述べている(ITmediaのインタビューより)。ハードウェアの完成度がどれだけ上がっても、「録音されている」ことをどう伝えるかという運用の課題は、AIグラスが普及するほど重みを増していくはずだ。

メモリス ブログの記事を、Googleで便利に検索できます

Googleで優先ソースとして追加
有料プラン2,490円相当)を
無料プレゼント中!
詳しく見る