
- Metaが8月26日、無印の「Meta Glasses」を日本発売。価格は5万600円からでRay-Ban Metaより2万3100円安い
- バッテリーは8時間超、充電ケースで最大40時間分を追加。度付きレンズにも対応する
- 常時装着で録音、撮影できる機器が値下がりし、普及の入り口に立ったことが読み取れる
眼鏡ブランドの名前を看板から下ろしたら、値段が2割強下がった。Metaが8月26日、EssilorLuxotticaと組んで展開してきたAIグラスの新ラインアップ「Meta Glasses」を日本で発売した。ITmedia NEWSの報道によれば、価格は5万600円から。今年5月に日本で先行発売した「Ray-Ban Meta」(7万3700円〜)や「Oakley Meta」(7万7220円〜)より、はっきり安い水準に置かれている。
中身はRay-Ban Metaと同じ路線だ。AIアシスタント「Meta AI」をアクションボタンで呼び出せ、ハンズフリーで写真、動画を撮影できる。撮影中は前面の「キャプチャLED」が白く点滅し、周囲に知らせる仕組みも共通している。バッテリーは8時間超、折りたたみ式の充電ケースで最大40時間分を追加でき、-12から+2.25まで対応する度付きレンズにも対応する。フレームはスクエア型の「Meta Adventurer」「Meta Fury」、オーバル型の「Meta Glasses by Kylie」の3種、色とレンズの組み合わせで全26スタイルを揃えた。
違いはブランドの看板だけ、と言い切れれば話は早いのだが、そう単純でもない。Metaは6月の米国向け発表で、Meta Glassesを「Muse Spark」という新しいAIエンジンを搭載した最初のAIグラスだと説明していた。ただしこの搭載は米国とカナダから始まり、他の地域へは「順次展開する」という書き方にとどまっている。日本発売時点でMuse Sparkが積まれているかどうかは、今回の報道では明言されていない。値札の違いほど、中身の違いは判然としないというのが正確なところだ。
それでも、この値下げが示している方向ははっきりしている。有名眼鏡ブランドとの提携モデルは、デザイン性を打ち出して単価を取りに行く一台だった。今回のMeta Glassesは、その化粧を落として台数を稼ぎに行く一台だ。スマートグラスはこれまで、常時身につけて録音、撮影できるという特性ゆえに、盗撮やプライバシーへの懸念とセットで語られることが多かった。Metaの別モデルでは盗撮防止LEDが回避できてしまう欠陥も報じられている。台数が増えるということは、この種の懸念が一部のガジェット好きの話では済まなくなり、身近な同僚や取引先が装着している可能性を前提に会話する場面が増える、ということでもある。
録音のあり方という観点では、スマートグラスは「その場で処理する」機器という位置づけになる。話しかければMeta AIがすぐ答える即時応答型で、同様の設計を取るINMO GO 3のように、字幕やリアルタイム翻訳をレンズ越しに映す製品もある。一方でメモリスのようなアプリは、会議の録音を最後まで終えてから音声をAIに渡し、数分かけて要約や議事録に仕上げる後処理型だ。専用の機器を新調する必要がなく、手元のスマホだけで完結する軽さと引き換えに、その場での即答は手放している。値下げによってスマートグラスの装着者が増えるほど、この二つの設計思想のどちらで会議や商談を記録するかという選択は、一部の早期採用者だけの話ではなくなっていく。




