
- Google Beamが日本を含む6カ国向けに出荷開始。Meet・Zoomと連携
- つながり50%増などの数字はGoogle社内調査で、第三者検証ではない
- 3D会議でも、決定事項は言葉の記録として残す必要がある
Googleは10月5日、Google AIを搭載したビデオコミュニケーションのプラットフォーム「Google Beam」を、日本を含む6カ国向けに出荷していると発表した。出荷は発表の「先月」から始まっており、具体的な開始日は明記されていない。出典はGoogle公式ブログである。
何が変わるのか
Beamは、通常の2D映像をリアルタイムで3Dに変換する独自のAIビデオモデルと、ライトフィールドディスプレイ(見る角度に応じた映像を表示できる特殊な画面)を組み合わせ、立体感と奥行きを出す。Googleは、相手をどの角度から見ても自然な3D映像で表示するため、視線を合わせたり細かな表情や仕草を読み取ったりでき、同じ部屋で対面しているような体験になると説明している。これはGoogle自身による機能の説明である。
提供形態は「HP Dimension with Google Beam」で、主要ハードウェアパートナーとともに展開される。Google MeetやZoomとの連携もうたわれており、会議ツールをすべて入れ替える必要はなさそうだ。日本向けサイトでは、距離の壁を感じさせない企業向け会議プラットフォームと紹介されている(Google Beam 日本向けサイト)。
Googleは直近8週間の社内調査として、Beamを使ったチームでお互いのつながりを感じる度合いが50%強まり、フィードバックが明確に伝わったと実感する割合が33%向上し、次回会議の必要性が21%減ったと報告している。ただしGoogle社内の調査であり、対象の規模や比較の基準は記載されていない。第三者による検証でもないため、導入効果の確定値としては読めない。
読者の会議にとっての意味
専用のハードウェアが前提なので、すぐに全員の会議が3Dになるわけではない。当面は、採用面談、新人の育成、部署をまたぐ打ち合わせなど、対面の質が成果に直結する場面から検討されることが考えられる。Google自身も、採用、人材育成、部門横断的なコラボレーションの領域に大きな変革をもたらすと見ている。
一方で、画面の向こうの表情が読みやすくなっても、会議の中身が自動で残るわけではない。誰が何を決め、誰が何をいつまでに担当するのか。それは相変わらず、言葉で記録しなければならない。
導入を考えるなら、見る指標と残す記録
導入の効果は「満足度」ではなく「次回会議が減ったか」で測るのがよい。Googleの報告で業務に直結しやすいのは、つながりの感じ方の50%よりも、次回会議の必要性が21%減ったという点である。会議の質は、同じ議題で何度も集まらずに済んだかどうかに表れやすい。自社で試験導入するなら、同じ議題の会議が再設定された回数を、導入前後で数えておくとよい。感想アンケートだけでは、Googleの数字と同じく比較の基準が曖昧なままになる。
もう一つは、表現力が上がる会議ほど、記録の取り方を先に決めておくことだ。対面に近い体験になると、相手の表情や雰囲気に意識が向き、手元のメモが後回しになることもあり得る。そうなると「あの場では合意した気がする」という記憶だけが残りかねない。3Dで伝わるのは表情や仕草であり、決定事項や期限は言葉にして残さないと伝わらない。
そこで、会議は録音しておき、終了後にAIで文字起こしと要約を作る運用が現実的になる。たとえば、AIボイスメモのメモリスは、録音した音声を録音後にAIが処理し、数分で文字起こしと要約を作る。映像の臨場感と、テキストの検索しやすさは別々の役割として併用できる。
Beamのような設備投資を伴う仕組みは、効果の測り方と記録の残し方を導入前に決めた会議から、成果を判断しやすくなる。




