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2026年09月16日 07:40

Google、Gemini 3.8 Live提供開始

執筆: Takumi(Memolith開発者)
メモリスメモリスによる要約
  • Googleが2026年9月15日、音声対話モデル「Gemini 3.8 Live」の提供を開始した
  • Gemini 3.5 Transcribeの単語誤り率はストリーミング時4.0%、非ストリーミング時2.6%だった
  • 速さと精度は同じモデルで両立させにくく、用途に応じて処理方式を使い分ける理由がある

Googleは2026年9月15日、Gemini APIとGoogle AI Studioで、音声対話に使う新しいモデル「Gemini 3.8 Live」と、複雑なリクエストに対応する「3.8 Live Extended Thinking」の提供を開始した。Google Developers Blogによれば、Live Extended Thinkingは音声対話の性能を測るArtificial AnalysisのSpeech-to-Speechリーダーボードで1位にランクされたという。

新モデルは97以上の言語に対応し、アクセントの一貫性を保った多言語対応をうたう。加えて、カメラなどから届く映像を会話の文脈として理解する「Visual context」という機能も備え、話している内容と見ている光景を結びつけて応答できるとしている。

Googleは音声対話向けのLive系とは別に、文字起こしに特化したモデルのGemini 3.5 Transcribeも先月公開したとしている(正確な公開日は明らかにされていない)。単語誤り率(WER。書き起こした単語のうち誤っていた割合を示す指標)は、発言と同時に文字化するストリーミング方式で4.0%、録音済みの音声をまとめて処理する非ストリーミング方式で2.6%だったという。同じモデルでも、即時性を手放すだけで誤りが減る計算になる。

Gemini 3.5 Transcribeの単語誤り率。ストリーミング方式は4.0%、非ストリーミング方式は2.6%。数値が小さいほど誤りが少ない

会議の記録、電話でのやり取り、思いついたことの音声メモなど、音声をAIに渡して整理してもらう場面は仕事の中で広がっている。今回の発表が示すのは、その処理を話しながら同時に進めるか、話し終えてからまとめて進めるかという設計の分かれ道が、もはや技術的な制約ではなく選択の問題になったということだ。

音声AIの進化は、応答を速くする方向への一本道だと見られがちだが、今回の発表が示しているのは一本道ではなく、速さと精度を同じモデルで両立させるより、用途ごとに別の経路を用意するほうが合理的だという流れである。

根拠は、Transcribeの誤り率の差だけではない。Googleは同じ発表の中で、開発者がInteractions API経由で最長1時間の音声ファイルを、タイムスタンプと話者の区別付きの構造化データとして書き起こせる仕組みも用意していると説明している。これは会話をその場で処理する経路ではなく、録音した音声をあとからまとめて解析する経路であり、Live系の即時対話とは別の設計として並んでいる。

もっとも、Googleが即時対話への投資をやめたわけではない。3.8 Live系には、映像を文脈として理解するVisual contextに加えて、応答を音声で流し続けながら裏でAPIやツールの呼び出しを進める仕組みも組み込まれており、対話の速さと自然さを高める機能は着実に積み増されている。

それでも、後から正確に参照することが目的の記録には、応答の速さより誤りの少なさが効く。コールセンターの応対やサブ秒単位の字幕のように、やり取りそのものがその場で完結する用途では即時性が価値を持つ一方、会議の決定事項や仕事のメモのように、あとで読み返して事実を確認する用途では、多少の遅れを引き受けてでも誤りの少ない書き起こしを選ぶ理由がある。この「あとでまとめて処理する」経路への需要は、エプソンダイレクトの「スピーチコネクト」のような、ローカルAIで文字起こしを行うアプリの登場にも表れている。

固有名詞への対応にも設計の違いが見える。Transcribeは、専門用語や社名を最大1,000語までまとめて登録するcustom_vocabularyという仕組みで認識精度を上げる。同じ課題に対して、AIボイスメモのメモリスは、よく使う単語をアプリが使用実績から自動的に学習していく設計を取っている。前者は運用者が語彙を管理する前提であり、後者は一人の記録が積み重なる前提であって、どちらも固有名詞という同じ弱点への別の対処の仕方だ。会議に限らず、思いつきや作業のメモをそのまま録音して渡せば、録音を終えたあとでAIが処理し、数分で文字起こしと要約が届く。

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