- LG gramがオフラインで議事録化、話者分離90%以上
- 要約特化の小型言語モデルが性能36%向上
- クラウド不要化が示す業界のコスト構造の変化
ネットが繋がっていない新幹線や飛行機の中で、録音した会議を文字にできたらと思ったことはあるだろうか。LG電子のノートPC「gram」が、その状況を解決しにきた。
ActionPowerは29日、自社のオンデバイス音声認識(STT)モデルを「LG gramノート」アプリに供給したと発表した。2026年モデルのgramから順次アップデートされ、インターネット接続なしで録音ファイルや音声をテキスト化し、話者分離と自動要約まで端末内だけで完結する。話者分離の精度は公開APIモデル基準で90%以上、要約特化の小型言語モデル(SLM)はパラメータ数20億以下という軽さを保ちながら、要約性能を最大36%引き上げたという(BigGoファイナンスの報道より)。
サーバー型の音声認識エンジンをノートPCで動く水準まで軽量化する、という点が技術的な核心だ。クラウドの大規模モデルに認識率で肩を並べるには、計算資源の制約の中でモデルを削ぎ落としながら精度を落とさない工夫がいる。ActionPowerが強調するのは、汎用の大規模言語モデルではなく議事録・要約という特定業務に絞ったモデルを使うことで、推論コストを抑えつつ同等以上の性能を出せたという点だ。文字起こしAI全般に言えることだが、モデルを大きくするほど賢くなるという単純な図式は、少なくとも「決まった業務を高い精度でこなす」用途では、もはや前提ではなくなりつつある。
オンデバイス処理の利点はオフライン対応だけではない。音声データが端末の外に出ないため、情報漏洩の経路そのものが一つ減る。会議の内容によっては、この「そもそも外に出さない」という設計が、暗号化通信より説得力を持つ場面もあるはずだ。一方で、端末側で処理が完結する分、モデルの更新頻度や対応言語の拡張はクラウド型より緩やかになりやすい。どちらを選ぶかは、扱う会議の機密度と、必要な言語・機能の幅を天秤にかけて決める話になる。
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