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2026年08月21日 12:30

富士通のAI活用、サービスデスク生産性3倍に

執筆: Takumi(Memolith開発者)
メモリスメモリスによる要約
  • 富士通が社内サービスデスクにAI導入、検索ヒット率50%向上を見込む
  • 顧客向け運用では生産性3倍の実績
  • 鍵は問い合わせのナレッジ自動蓄積の仕組み

富士通が、従業員9万人超を抱える全社DXプロジェクト「フジトラ」の一環として、社内サービスデスクにAIを導入したと報じられている。

TECH+(マイナビニュース)の記事によると、従業員からの問い合わせにはバーチャルエージェント(対話形式で応答する自動応答システム)が対応し、多くの課題が自己解決できるようになったことで、対応担当者の作業量が減った。加えて、問い合わせと回答のやり取りをもとにAIが模範解答を自動生成し、ナレッジとして蓄積していく仕組みも整備されたという。この取り組みはまだ始まったばかりだが、検索ヒット率が50%向上し、ナレッジの生成量も43%増加する見込みだとされる。同様の仕組みは顧客向けのインフラサービス運用にも展開されており、そちらでは生産性を3倍に高めた実績があるという(出典:富士通が進めた従業員9万人規模のAI変革。サービスデスクの生産性を3倍にした実践知に迫る(TECH+))。

社内サービスデスクという言葉には縁が薄い読者でも、構図自体はなじみがあるはずだ。誰かに同じ質問を繰り返し聞かれ、そのたびに口頭で答えて終わり、次に同じ質問が来たときにまたゼロから説明し直す。この「聞かれて答えて忘れる」ループを、富士通の事例は「聞かれて答えてナレッジ化する」ループに置き換えている。AIが答えを返すだけでなく、そのやり取り自体を検索可能なデータへ変換し続ける点が、単なる応答の自動化と一線を画すところだ。

この仕組みの本質は、応答の自動化そのものより「対応の履歴を、あとで検索・再利用できる形に構造化する」設計にある。問い合わせ対応、会議、日々のメモといった口頭・非構造データは、放置すれば発生した瞬間に消えていく。富士通の事例が検索ヒット率やナレッジ生成量という指標を明示しているのは、AIが答えを出すだけでなく、その過程で生まれる情報を組織の資産として積み上げられているかどうかを、成果として測っているからだろう。個人の仕事でも、議事録やメモを「その場限りの記録」で終わらせず、後から検索できる形で残せているかどうかは、同じ発想で点検できる論点だ。

一方で、富士通が見据える「人が介在しないゼロタッチサービスデスク」(オペレーターを介さずAIだけで問い合わせが完結する状態)には、慎重に見ておくべき点もある。AIが自動生成する模範解答は、元になった問い合わせと回答の質に精度が左右される。誤った回答や古い情報がナレッジとして蓄積されてしまえば、それがそのまま次の自動応答の材料になり、誤りが再生産される構造になりかねない。ナレッジ生成量の増加を成果指標として掲げるなら、生成された回答を定期的に人が検証し、誤りを訂正する工程もセットで設計する必要がある。量の拡大と質の担保は、自動化が進むほど両立させにくくなるトレードオフであり、この事例が本当に評価されるべきかどうかは、3倍という数字の先にある検証体制の有無で決まるはずだ。

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