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2026年08月21日 19:30

ExcelのAI関数「COPILOT」、1年で廃止に

執筆: Takumi(Memolith開発者)
メモリスメモリスによる要約
  • ExcelのAI関数「COPILOT」は2026年9月14日付けで廃止、提供開始から1年での終了となる
  • 生成AIは呼び出すたびに答えが変わりうる、既存標準関数中心のExcelとは相性が悪かった
  • 録音後にAIがまとめて処理する『後追い型』の設計は、生成AIの再現性の課題を抱えにくい

Microsoftが2025年8月にInsiderプログラムで先行提供を始めたExcelの関数「COPILOT」が、2026年9月14日付けで廃止されることになった。 その後Frontierプログラムを通じてExcel for the webにも展開されていたが、一般提供には進まないまま幕を引く形になる。 COPILOT関数の公式ページによると、この関数はセルにプロンプト(自然言語の指示文)と参照データを渡すと、要約・分類・タグ付けといった処理をAIが代わりに行う仕組みだった。

Excelは表計算ソフトの中でも特に、同じ入力なら同じ結果が返ることを前提に使われてきたツールである。 そこにAIが答えを生成する関数が混じると、日々の業務でどこまで数式を信頼していいのか、線引きが難しくなる。 実際に公式ページでも、正確性や再現性が求められる数値計算には標準関数の利用を推奨し、法令や規制に関わる判断への利用は避けるよう案内されていた。 AI機能を仕事道具に組み込むときは、便利さだけでなく、どこまで機械的に信頼できる処理かを見極める視点が、これからも必要になる。

COPILOT関数が一般提供に進まなかった背景には、能力の不足より、Excelという仕組みとの相性の悪さがあったと考えられる。 同じセルの関数が呼び出すたびに違う答えを返しうる生成AIは、再計算のたびに値が変わりうるExcelの性質と噛み合わない。 加えて10分あたり最大100回という利用回数の制限は、無数のセルを一気に再計算するExcelの使い方そのものと衝突する。 Copilotサブスクリプション契約が前提という条件も、表計算ソフトという誰でも触る土台の機能としては重い制約になる。

もっとも、Microsoftが廃止の理由を公式にこう説明したわけではない。 PC Watchの報道は「そのため、一般提供はされずそのままお蔵入りとなってしまったようだ」と推測にとどめており、この記事もその推測を引き継ぐ。 それでも、公式ページに記載された制限事項を並べれば、原因は機能の精度そのものより、AIの処理特性と、編集中のドキュメントに常駐させる設計との食い合わせにあったと見るのが妥当だろう。 処理対象が動き続けている間にAIを割り込ませると、再現性・利用回数・契約条件のどれかが必ず摩擦を生む。

録音を止めてから音声全体をまとめてAIに渡す設計なら、参照するデータは処理の開始時点で固定されており、生成結果が呼び出すたびに揺れても、それが業務のたびに露呈する場面がそもそも少ない。 会議や思いつきを録音してから後でAIに渡す「AIボイスメモ」的なアプローチが定着しやすいのも、対象を録音後に固定してから処理する分、こうした摩擦を抱えにくいからだ。 録音を終えてからAIが文字起こし・要約を行う設計は、処理中に入力が動き続ける心配がなく、数分待てば結果が返るという体験に閉じている。 COPILOT関数の顛末は、AI機能を仕事道具に組み込むときの分かれ目が、使う場面をいつ・どう区切るかにあることを示している。

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