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2026年09月23日 13:32

Apple、Siri巡り2億5000万ドルの和解案

執筆: Takumi(Memolith開発者)
メモリスメモリスによる要約
  • Appleが虚偽広告訴訟で2億5000万ドルの和解案を提出、対象はiPhone16と一部iPhone15
  • 原告は約束されたSiriのAI機能が未提供と主張、Appleは責任を否定
  • 予備承認後に通知の見込み、判事が和解の適否を審理

Appleが、Siriの新機能を巡る虚偽広告訴訟で2億5000万ドルの和解案を裁判所に提出した。

原告側の弁護団Cotchett, Pitre & McCarthyは、共同主任弁護団のKaplan Fox、Clarksonとともに、2026年5月5日、和解案を裁判所が仮に認める最初の段階(予備承認)を求める申立てを米連邦地裁に行ったと発表している(原文)。

訴えられているのは、iPhone 16と一部のiPhone 15モデルの広告表現だ。原告側は、アプリ間で情報を統合できるとされた、大幅に強化されたAI搭載のSiriパーソナルアシスタントを広告の中心に据えていたと主張し、その広告を信じて何百万人もの消費者がiPhoneを購入したものの、Appleは約束した機能を提供しなかったと訴状で述べている。Appleはこの和解に同意するにあたり、法的責任を認めておらず、不正行為への関与も否定している。本稿執筆時点で、これ以上の公式コメントは確認できていない。

和解案では、対象期間(2024年6月10日から2025年3月29日)に対象のiPhoneを購入し、有効な請求を提出した米国の消費者・企業が、和解が認められればデバイスごとに現金支払いを受け取る資格を持つ。この適否は米連邦地裁のNoël Wise判事が審理し、予備承認が認められれば全国の集団訴訟メンバーに通知が送られる見込みだ。原告側弁護士のBrian Danitz氏は、この和解案が虚偽広告訴訟の中でも最大級の規模だと述べている。

Siri虚偽広告訴訟の主な日付。2024年6月10日に対象期間の開始、2025年3月29日に対象期間の終了、2026年5月5日に予備承認を申立て。対象期間は購入日の範囲、申立て日は裁判所への手続き日で性質が異なる

この訴訟が示しているのは、AI機能の「発表」と「実装」のあいだにある距離だ。読者の多くは、Apple Intelligenceの発表当時、Siriが近くアプリ横断の作業を代行してくれると期待して端末を選んだはずだ。だが実際に手元に届いたのは、その期待の水準ではなかった、というのが原告側の言い分である。仕事の道具選びでも同じ構図は繰り返される。まだ動いていない機能を前提に契約や業務フローを組んでしまうと、機能が遅れた分だけ業務側が止まる。録音した会議やアイデアをテキスト化する場面でも、頼れるのは発表資料ではなく、いま実際に動いている処理だ。AIボイスメモのメモリスは、録音した音声をAIに渡すと録音後にAIが処理し、数分でテキスト化・要約が届くという、今日時点で確認できる処理だけを前提にしている。この「今動く範囲」を基準にする視点は変わらない。

和解の通知を受け取ったら期限内に請求すればいい、という受け止め方は間違っていない。対象期間に対象のiPhoneを購入した読者にとっては、和解が認められれば請求できる機会になる。

ただし、この案件から持ち帰るべき教訓は、請求の手続きだけではない。和解は予備承認前の段階であり、Appleは法的責任そのものを認めていない。Siriの機能不足を「Appleの過失」と確定させたわけではなく、あくまで双方が争いを終わらせるために選んだ落としどころにすぎない。この一件だけを見てAppleの発表全般が信頼できないと結論づけるのも、逆に和解が成立したのだから実害は無かったと考えるのも、どちらも早計だ。

むしろ実務的に効くのは、AI機能を仕事の前提に組み込むタイミングの見直しだ。発表されたAI機能を業務フローに組み込む前に、自分の手元の端末やアカウントで実際にその機能が動いているかを確認し、いつ・どのバージョンで確認したかを記録しておく。「大幅に強化される」という予告と、実際に配信された機能のあいだにギャップが生じた前例がある以上、予告段階で計画を固定するのはリスクになる。動いている機能を基準に道具を選び直す習慣は、今回のような訴訟が起きるたびに、業務側の被害を小さくする。

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