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2026年07月29日 12:30

Windows 11プレビュー版に音声分離機能、周囲の声をマイク入力段で遮断

執筆: Takumi(Memolith開発者)
メモリスメモリスによる要約
  • Windows 11のアクセシビリティ機能「音声アクセス」に、声で操作する際の認識モード「音声分離」が追加された
  • 声の登録・認識処理はすべて端末内で完結し、外部に送信されない設計
  • 対象は音声コマンドの聞き取り精度のみ。会議相手に届く声や録音済み音声の雑音を消す機能ではない

Microsoftは7月28日(米国時間)、Windows 11 24H2・25H2向けにプレビュー更新プログラム「KB5101684」(不具合修正や新機能を先行配信する際にMicrosoftが振る更新番号)の配信を開始した(Microsoft公式サポートページ)。含まれるのは、キーボードやマウスを使わず声だけでPCを操作するアクセシビリティ機能「音声アクセス(Voice Access)」向けの新モード「音声分離(Voice Isolation)」だ。前日の7月27日、Windows Insiderブログが実験チャネル向けビルド29634.1000の告知で先行公開しており(Windows Insiderブログ)、PC Watchも国内向けに紹介した

音声アクセスの設定(英語表記では「Voice Access settings」内の「Improve speech recognition=音声認識の精度を上げる」という項目)で選べる認識モードは3種類に増えた。周囲の話し声や環境音をまとめて除去する「音声分離(Voice Isolation)」(利用には一度だけ、画面に表示された短い文章を声に出して読み、自分の声を登録する作業が必要)、キーボード音やドアの開閉音のような非音声のノイズだけを除く「バックグラウンドノイズの除去のみ」(登録不要)、そして従来通り加工しない「フィルターなし」だ。Windows Insiderブログは、これらの処理はすべて端末内で完結し「声のデータが端末の外に出ることはない」と明記している。

ここで誤解しやすいのが、この機能が助けているのは"どちら向き"の音声認識かという点だ。音声アクセスは、Webページの閲覧やアプリの切り替え、ボタンのクリック、文章の口述筆記などを声のコマンドで行うための機能であり、Teamsやビデオ通話アプリがマイク音声を相手に送る経路とは別物である。つまり音声分離が上げているのは「自分がPCに出した指示を、OSが正しく聞き取れるか」という認識精度であって、会議相手に自分の声がどう届くかや、録音済みの音声ファイルにすでに乗ってしまった雑音を後から消す話ではない。文章の音読による声の登録も、音声アクセスを使う本人1人分の声を覚えさせる処理であり、複数人が同時に話す会議の音声をあとから仕分ける用途は最初から想定されていない。

このスコープの狭さは、OS標準の音声処理と、録音を扱うアプリ側の音声処理がなぜ競合せずに済むかを考えるうえで手がかりになる。音声アクセスの音声分離が担うのは「いまマイクに向かって話しているコマンドを正確に聞き取る」というリアルタイムの入力精度で、対象は基本的に話者1人だ。一方、会議やちょっとした思いつきを録音してあとから見返す用途で必要なのは、複数人が入り乱れて話した録音を丸ごと受け取り、誰が何を言ったかも含めて録音後にテキスト化・要約する仕組みである。前者はOSのアクセシビリティ機能の役割、後者はメモリスのようなAIボイスメモアプリの役割として、レイヤーが分かれたまま伸びていく可能性が高い。実際メモリスも、録音を終えてからAIに渡して数分で文字起こし・要約が仕上がる仕組みで、会議中にリアルタイムで字幕を出す機能ではない――「録音の最中に助けるOS機能」と「録音が終わってから整理するアプリ機能」は、そもそも動くタイミングが違う。

もう一つ興味深いのが「声のデータが端末の外に出ない」という設計だ。音声アクセスは登録した声の情報も含め、すべて端末内で処理を終える。メモリスも、録音データをAIが処理し終えたあとは即時自動削除する設計を採っており、仕組みこそ異なるが「録音データを長く手元に残さない」という発想の方向性は近い。OSレベルでもこうした設計が標準化されつつあることは、音声を扱うアプリ全般にとって、処理を終えたデータを残さない設計が今後いっそう当たり前の期待値になっていくことを示唆している。

配信自体が「段階的な展開」に区分されている点は変わらない。同じKB5101684を適用したPCでも、音声分離が実際に選べるようになるタイミングは端末によって前後する。実験チャネルのビルド公開からわずか1日で通常のプレビュー更新に組み込まれた展開の速さは、Microsoftがこの機能を急いでいる証拠とも読めるが、手元のPCの設定画面にまだ選択肢が出てこない場合は、単に自分の番が来ていないだけの可能性が高い。

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