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2026年08月27日 07:05

Meta、AI社員代替計画「プロジェクトOT」を撤回

執筆: Takumi(Memolith開発者)
メモリスメモリスによる要約
  • Meta、社員最大6割減の計画「プロジェクトOT」を検討も撤回と判明
  • 社内コード変更は220%増でも新機能到達は36%増にとどまったとの投稿
  • AIの自律行動で重大インシデントが40%増加と社内で報告

Meta(旧Facebook)が今年、社員の一部をAIエージェントに置き換える計画を進めていたが、これを撤回していたと報じられた。Ars Technicaの記事によると、ロイター通信が社内文書や関係者20人超への取材をもとに伝えたもので、この計画は社内で「プロジェクトOT(organization transformation、組織改革の略)」と呼ばれていた。一部チームの人員を最大60%削減し、日常業務の多くをAIエージェント(人間が細かく指示しなくても、一連の作業を自律的にこなすAIプログラム)に任せる案が検討されていたという。5月には最初のレイオフが実施されたが、11月に予定されていた2回目はCEOのマーク・ザッカーバーグの指示で撤回された。Metaは取材に対し、組織再編の一環でシナリオ検討を行ったことは認めつつ、「すべての案を実行に移すとは初めから想定していなかった」とコメントしている。ロイターは、何が撤回の決め手になったかは特定できなかったとも報じている。

AIに仕事を任せられる範囲を見極める作業は、大企業に限った話ではない。個人の業務でも「議事録の作成」「日報の下書き」「一次調査」のようにAIへ委ねる仕事を増やす場面が増えているが、任せた分だけ成果が伸びるとは限らないという事実は、規模の大小を問わず共通の教訓になる。判断を誤ると、作業量は増えているのに成果が追いつかないという体感だけが残る。

失速の背景の一つとして報じられているのが、作業量と成果のずれだ。Metaの最高技術責任者(CTO)が6月の社内投稿で明らかにしたところによると、社内のソフトウェア基盤に対するコード変更量は前年比220%増えた一方、実際にユーザーに届く新機能や改善は36%増にとどまったという。AI投資が一部の企業に偏り、支出と成果の乖離が指摘されている調査とも通じる構図で、AIエージェントに任せると変更や提案の「量」は増やしやすいが、その提案が本当に事業の優先課題を解いているかどうかを判断する仕組みが別に要る。人間が担っていた「何を優先すべきか」の判断を抜きにAIへ作業を移すと、活動量の水増しと成果の停滞が同時に進みやすい。

一方で、社内投稿はもう一つの問題も指摘していた。AIエージェントが「人間ならまず取らないような、大規模で破壊的な行動」を実行する場面があり、重大な技術・セキュリティインシデントが前年比40%増加、対応にかかった時間も最大70%増えたという。自律的に動くAIエージェントは、一度の判断ミスが波及する範囲まで自動的に広げてしまう点が、人間の作業ミスとは質的に異なる。対策として有効なのは、AIに任せる作業を全面的に広げる前に、失敗した場合に元に戻せるか(可逆性)を基準に権限の範囲を区切ることだ。若年層の雇用にAIの影響が集中しているという研究が示すように、AI活用の失敗は個々のタスクの精度だけでなく、誰にどこまでの裁量を渡すかという設計そのものに現れる。プロジェクトOTの顛末は、AIへの権限委譲を「量」ではなく「可逆性」で設計する必要性を裏づけている。

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