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2026年08月07日 12:30

GMOが在宅勤務推奨を廃止、AI活用へ出社回帰

執筆: Takumi(Memolith開発者)
メモリスメモリスによる要約
  • GMOが7月14日、在宅勤務推奨の廃止をXで表明し全員出社体制へ転換した
  • さくらインターネットは同日、フルリモート継続の方針をXで示し対照的な判断となった
  • 在宅勤務者の評価の難しさなど課題は多く、出社と在宅の適否は企業ごとに判断が割れている

7月14日、同じ日に、同じ「AI時代の働き方」という前提から、正反対の結論に達した経営者が二人いた。

GMOインターネットグループの熊谷正寿氏はこの日、自身のXで在宅勤務を推奨する方針の廃止を宣言した。一方、さくらインターネット社長の田中邦裕氏も同じ日にXで「経営者の都合よりも、社員の働き方の多様性を活かして、社員に選ばれ続ける会社作りに努めます」と投稿し、フルリモートの継続を明言している。両社が答えを出した問いは同じはずなのに、選んだ道は正反対だった(「全員出社で生産性向上を」 GMOが在宅勤務の推奨を廃止、財界オンライン提供記事・マイナビニュース TECH+掲載)。

熊谷氏の説明は明快だ。「AI(人工知能)産業革命の真っ只中である大事な時期だからこそ、全員出社でAIをフル活用して、生産性を上げていこうと考えた」。AIに任せられる作業はAIに委ね、人はより創造的な議論や意思決定に時間を使う——出社の理由は雑談の復活ではなく、AI時代に人が担うべき仕事の質を上げるための対面設計だ、という位置づけである。介護や育児の事情には柔軟に対応するとも付言しており、一律強制というわけではない。

読者にとって気になるのは、この「全員出社で生産性向上」という因果が、どこまで裏付けられたものかという点だろう。実は記事の中に、出社と生産性を直接結びつけるデータは無い。富士通は今年1月、24年度のオフィス出社率が全社平均で約25%と公表しており、NTTは今年6月時点でリモートワーク実施率が58.9%に上る。同じ「働き方」というくくりの中に、出社率25%の会社とリモート率58.9%の会社が同居しているのが実情で、GMOとさくらの対照は、その振れ幅の両端がたまたま同じ日に声を上げたから目立った、という側面もある。

出社回帰を「創造的な議論や意思決定」のためだと位置づけるなら、その議論の中身がどう残るかが次の論点になる。オンライン会議は録画やログが標準で残る設計がすでに定着しているのに対し、対面の会議室での議論はメモを取る人任せで、むしろ記録が最も薄くなりやすい場でもある。AIに任せられる作業を切り出し、人には創造的な意思決定を担わせる、という熊谷氏の理屈を実行に移すなら、その意思決定がいつ・誰の発言で・どう固まったかを言語化して残す仕組みが前提として要る。出社を増やすほど記録の空白が増える、という逆説が起きかねない構造だ。

これとは別に、記事が触れているもう一つの事実も見過ごせない。在宅勤務者の仕事の評価が難しいという経営者側の悩みは、多くの企業に共通するとされている。これは働く場所そのものの問題というより、評価の材料が記録として残っているかどうかの問題である。在宅でも対面でも、会議で何が話され、何が決まったかのログが残っていなければ、評価は結局「よく発言していた」「印象が良かった」という主観に戻ってしまう。出社に戻せば自動的に解けるはずの課題ではなく、場所を変えても記録の設計を変えなければ、同じ壁に当たり直すだけだろう。

働き方を巡る議論は、今後も出社かリモートかという二択で語られがちだ。しかし熊谷氏と田中氏が同じ日に見せたのは、場所の選択そのものより、AIと人の役割分担をどう設計するかという、もう一段深い論点だったのかもしれない。

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