
- Max20xの実上限が広告の20倍でなく6〜8倍と訴状が主張
- 訴状はAnthropicの上限算出方法を「ブラックボックス」と指摘
- AI選定では上限の算出根拠が公開されているかを確認したい
AIチャットサービス「Claude」を手がけるAnthropicが、上位サブスクリプション「Claude Max」の利用上限をめぐって集団訴訟を起こされたと、米CNETが報じた。
CNETの報道によると、対象は月額100ドルのMax 5xと月額200ドルのMax 20xの2プランである。それぞれ無印プランのProの5倍・20倍の利用量を謳っているが、訴状はMax 20xの実際の上限が「わずか6〜8倍」、Max 5xは「わずか3.5倍」にとどまると主張している。原告のカール・カーン氏は個人利用からコーディング業務へとClaudeの使い道を広げ、2026年4月までに2度アップグレードしてMax 20xに至った人物で、5時間のコーディング作業だけで週間割当の約2割を使い切ることが多かったという。訴状は、Anthropicのウェブサイトには利用量の算出方法についての意味のある説明が一切なく、ブラックボックスになっていると主張している。CNETのコメント要請に対し、Anthropicは即時には応答しなかったという。
数字の当否は今後の審理を待つほかないが、訴状の主張が事実なら、有料プランを選ぶ基準そのものが揺らぐ。コーディング支援や資料作成でAIを日常的に使うビジネスパーソンにとって、Max 20xのような上位プランは「たくさん使える」という前提で月額の高さを正当化するものだからだ。上限の実態が広告と食い違うなら、割高な契約を続ける根拠が失われる。
上限が多少低くても、日常業務では困らないから気にしなくていいという受け止め方もあるだろう。だが訴状が本当に問題視しているのは倍率の差そのものより、その倍率を利用者が検証する手立てが無い点にある。Anthropicのブログは、どのプランもセッションごと・週ごとの利用上限の両方の影響を受けると説明してはいるものの、各プランが一定期間に送れるプロンプト数までは明かしていない。さらに同社は、週次・月次の上限やモデル・機能の利用制限など、他の方法でも自社の裁量で利用を制限する権利を留保するとも記している。算出方法が非公開のまま事業者の裁量で変更しうる仕組みでは、利用者は自分が広告どおりのサービスを受けているかどうかを、そもそも確かめようがない。
だからこそ、AIツールを選ぶときに見るべきなのは「上限の倍率」という数字そのものより、その数字がどう計算されているかが公開されているかどうかである。計算根拠が不明なまま倍率だけが提示されているプランは、値上げや制限強化があっても利用者側から検証できない。あわせて、自分の利用実態(何にどれだけ使ったか)を日頃から記録しておけば、サービス側の上限表示と食い違いが出たときに具体的な根拠を持って指摘できる。契約前に規約や公式説明で算出方法の有無を確認する、という一手間が、こうしたトラブルに巻き込まれるリスクを下げる。
利用上限をめぐる不透明さは、Claudeに限った話ではない。OpenAIもCodexの週間利用上限リセットを巡って調整を重ねており、上限の設計と説明責任はAIサービス全体に共通する課題になりつつある。メモリス(AIボイスメモ)のように、月あたりの利用回数をあらかじめ明示している製品を選ぶことも、こうした不透明さを避ける一つの手立てになる。
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