
- AkamaiとAnthropicが7年116億ドルのクラウド契約を締結(2026年9月24日発表)
- 契約はAnthropicのCPUワークロード需要拡大を支える目的
- 拡大成功時は追加90億ドルで潜在的に約200億ドル規模へ
米マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置くAkamai Technologies(ナスダック:AKAM)が2026年9月24日、Anthropicとの契約について発表した。
7年間で116億ドルの契約上のコミットメント(購入を約束した金額)を結んだという内容で、AIモデルの学習・推論を担うGPU(画像処理用に発達し、今では大量の並列計算に使われる半導体)とは別に、汎用的な計算処理を担うCPUのワークロード需要拡大を、Akamai Cloudの分散型AIインフラとソフトウェアで支えるためのものだと説明されている。契約はさらに最大90億ドル分拡大する可能性があり、実現すれば潜在的な合計コミットメントは約200億ドルになるという。
この契約でまず目を引くのは、対象が「CPU」ワークロードだと明記されている点である。AIサービスの計算資源というと、モデルの学習や推論を担うGPUの奪い合いが語られがちだが、AIサービスの運用にはリクエストの振り分けやデータの受け渡しなど、汎用的な計算処理を担うCPUも欠かせない。Anthropicのような企業がサービスを拡大すれば、こうした周辺処理の需要も膨らんでいくと考えられる。今回の契約は、AIサービスの裏側にGPU以外の巨大なインフラ需要が存在し、それが数年単位の投資契約を必要とする規模に達しうることをうかがわせる。読者が日々使っているAIサービスの応答速度や可用性は、こうした地味な計算基盤への投資に支えられている面もあるだろう。
この規模の投資は、AI企業がインフラの安定確保を単発の利用契約ではなく複数年のコミットメントで先取りする段階に入りつつある一例とみることもできる。Akamaiは今回の契約に関連する設備投資の総額を約55億ドルと見積もっており、メモリなど重要な部品を確保・事前購入するため、2026年の設備投資が約17億ドル増加する見込みだとしている。インフラを提供するAkamai自身が、数年先の需要を見越して部品調達を前倒しする必要に迫られていることがうかがえる。
これとは別に、契約の結び方そのものにも注目したい。Akamaiは、あらかじめ決めた価格(1株111.33ドル)でAkamai株を取得できる権利(ワラント)をAnthropicに発行しており、発行済み普通株式の約5%相当にあたる。このうち約2%は今回の116億ドルのコミットメントに伴って権利確定(権利を行使できる状態になること)する見込みで、残り約3%は今後の拡大が進むにつれて段階的に確定するとされる。さらに、両社が合意した条件のもとでクラウドサービスの購入が追加で30億ドル増えるごとに、約1%相当が権利確定する見込みだという。つまりこの契約は、両社が合意のうえで取引を拡大するほどAnthropicがAkamai株を取得しやすくなる設計であり、両社の利害を長期にわたって結びつける仕組みだと言える。AIサービスの基盤は、こうした提供元同士の複数年契約によって決まっていく面がある。仕事でAIサービスを使う側にとっては、契約や提供元が変わっても仕事の記録自体は手元に残るよう、議事録や商談メモは録音した音声をメモリスのようなAIボイスメモでテキスト化しておくと安心材料になる。
なお、Akamaiは今回の契約が2026年度の売上高ガイダンス(会社が公表している年間売上の見通し)に影響を与えないと見込んでいるとしており、今回のAnthropicとの契約は、Akamaiが今年これまでに発表していた顧客基盤全体での28億ドル超の複数年クラウドインフラサービス(CIS)契約に追加されるものだという(Akamaiの発表)。




