- Gemini NotebookがGoogle Play Booksの購入済み本を情報源に追加できる新機能を発表
- 本の内容から計画表やAIポッドキャストまで生成可能
- 対応は購入済み電子書籍限定で、自前資料の持ち込みはできない
Googleのメモ・要約アプリ「Gemini Notebook」(旧NotebookLM)に、購入済みの電子書籍を情報源として取り込める新機能「Expert Intelligence」が追加されたとThe Vergeが報じた。Google公式発表によれば、Google Play Booksで購入した本をNotebookに追加すると、その内容について質問したり、計画表・インフォグラフィック・AIポッドキャストなどを生成したりできる。開始時点でペンギン・ランダムハウスやオライリー・メディアなど大手出版社の10万冊以上が対応する。Google Labsのスティーブン・ジョンソン氏はThe Vergeの取材で、料理本『Food Rules』の内容から独自レシピ集を作る例や、経営書『Radical Candor』の知見をもとに部下との難しい会話への対応を答えさせる例を示したという。著者15人と協力した「Featured Notebooks」も用意され、Search内のAI Modeや通常のGeminiアプリへの展開、学術論文・雑誌・新聞への対応拡大も予定されている。
この機能が示しているのは、AIの役割が「読む・要約する」から「持っている情報源に質問して使う」へ移りつつあるという流れだ。本を読み込んで内容を覚えておく代わりに、AIに聞けば必要な形(企画書、図解、音声解説)で引き出せる。仕事の資料や議事録、会議の録音といった自分の持ち物が、検索対象ではなく対話相手になる変化は、読書に限らず情報を扱うすべての場面で進んでいく。
この機能で見落とせないのは、対話できる情報源の範囲を誰が決めているかという点だ。Expert Intelligenceが情報源にできるのは、あくまでGoogle Play Booksで購入した本に限られる。手元にある紙の本や、他の電子書籍ストアで買ったファイル、自分でスキャンしたPDFは対象外だ。
この制限自体は不合理ではない。出版社・著者への収益還元をGoogleが明言している以上、購入経路を限定するのは著作権処理と収益分配の仕組みを成立させるための現実的な選択であり、ここを緩めれば機能自体が成り立たなくなる可能性が高い。実際、共有したNotebookに含まれる購入済み書籍について、持っていないユーザーには全文を見せず購入導線に誘導する保護を組み込んだとGoogleは説明している。
ただし、この「情報源として認められる条件」を出版社との契約が静かに決めているという構造は、書籍に限った話ではない。会議の録音、個人のメモ、社内資料といった別の情報源でも、どのファイル形式・どの取得経路のデータならAIが情報源として扱えるかは、サービス側の設計判断ひとつで決まる。録音した音声を情報源として扱うプロダクトを作る立場から見ると、この境界線の引き方こそが「使える体験」と「制約だらけの体験」を分ける実装上の勝負どころであり、読者が新しいAIツールを選ぶときは、機能の華やかさだけでなく「自分の持っているどの情報を情報源にできるのか」を先に確認したほうがいい。範囲が狭ければ、結局は手元の資料を一つひとつ別のツールに移し替える手間が残るからだ。




