DJI、AIノイズキャンセリング搭載ワイヤレスマイク「Mic Mini 2S」発表

- DJIが「Mic Mini 2S」発表、価格は1万4300円〜
- AIノイキャンは屋内なら弱め設定を既定にすべき
- 録音前に会議名・日付での書き出し手順を固定すべき
DJIが、ワイヤレスマイク「Mic Mini」シリーズの最新モデル「Mic Mini 2S」を発表した。DJI公式サイトによれば、同シリーズで初めて内部録音機能を搭載し、32-bitフロート録音と2段階のAIノイズキャンセリング(屋内向け「ベーシック」/屋外向け「ストロング」)に対応する。トランスミッター本体に約14.5GBのストレージを内蔵し、デフォルト設定で最長28時間の録音が可能。レシーバー1台に最大4台のトランスミッターを同時接続できるほか、Osmoカメラとのケーブルレス接続など映像制作向けの機能も強化された。価格は構成により1万4300円〜2万7720円。
会議録音との相性でいちばん効くのは、32-bitフロート録音と複数話者対応の組み合わせだ。32-bitフロートは録音レベルの設定ミスによる音割れや小声の消失を後処理側で吸収できる形式で、収録時に音量を追い込む手間を減らす。加えて複数人にピンマイクを渡せる構成なら、スマホ内蔵マイクが苦手とする「発言者との距離差」による音量ムラも避けやすい。録音後に音声をAIへ渡して文字起こし・議事録化する運用であれば、入力音質の改善はそのまま認識精度に跳ね返る。文字起こしの誤りの多くは、AIモデルの性能不足より先に、そもそも音として何を発話したかが不明瞭であることに起因するからだ。
ここで見落とされやすいのが、AIノイズキャンセリングは「強くかければ良い」わけではない点だ。ノイズ除去のアルゴリズムは、声とノイズの境界が曖昧な帯域を削るときに、声の輪郭ごと削り取ってしまうことがある。DJIが屋外用の「ストロング」と屋内用の「ベーシック」を分けたのは、空調音のような定常ノイズが主体の会議室では、除去を強くかけすぎるとむしろ音声の明瞭度が落ちるという判断があってのことだろう。会議室での録音は弱め設定(ベーシック)を既定にすべきで、強め設定(ストロング)は屋外や騒がしい環境に限って使うべきだ。ノイズが多少残るより、声の輪郭が削れて子音や語尾が潰れるほうが、後段の文字起こし精度にとっては痛手になりやすい。
もう一つの論点は、最長28時間・4話者同時録音という機能の充実が、そのまま「録音は溜まるが整理されない」問題を招きやすいことだ。録音時間や同時接続数が伸びるほど手元に残る音声ファイルの数と長さは増える一方で、後から「どれがどの会議の録音か」を探す手間は減らない。この問題は録音し終えたあとに片付けようとしても解消しにくく、録音を始める時点で「会議名・日付」をファイル名として固定してから書き出す手順を先に決めておくべきだ。命名規則を録音後ではなく録音前に固定しておけば、AIによる文字起こし・要約と組み合わせたときも、どの議事録がどの会議のものかを迷わず特定できる。
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