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2026年08月10日 12:30(最終更新: 2026年08月28日

Claude CodeでGPT-5.6使用、凍結騒動の顛末

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  • 2026年08月28日内容を大幅に加筆・改稿しました(一次情報への出典を補強し独自分析を追加)
執筆: Takumi(Memolith開発者)
メモリスメモリスによる要約
  • 非公式の中継ツールでGPT-5.6を使ったユーザーのAnthropicアカウントが凍結され、両社の開発責任者の投稿を通じて解除された
  • Anthropicは『ハーネスへのなりすまし』検知を2026年1月にも強化しており、同系統の検知が今回も誤反応した可能性がある
  • 止まったら幸運を待つより公式の異議申し立て窓口を使い、成果物は特定ベンダーに依存しない場所に日常的に退避すべきだ

Anthropic製のコーディングツール「Claude Code」の内部で、OpenAIの「GPT-5.6 Sol」モデルを動かす。一見ただの小技に見えるこのハックが、8月に入って思わぬ形で決着した。

発端は7月12日。OpenAIでコーディングエージェント「Codex」を率いるThibault Sottiaux氏(X上の通称Tibo)が、自身のXで手順を公開した。CLIProxyAPIという中継ツールを挟み、Claude Code上からGPT-5.6 Solを呼び出せるようにする方法だ。Claude Codeのような「ハーネス」――AIモデルへの指示出しと、コード編集やコマンド実行への変換を仲立ちする土台ソフト――に、開発元とは別会社のモデルを載せ替える手法である。投稿の締めくくりには「これがブロックされたら、僕がリセット(利用上限の再付与)で埋め合わせるよ」という一文が添えられていた。

その約1カ月後の8月8日、この手順をほぼそのまま試したXユーザーのalex getman氏が、自身のAnthropicアカウントが凍結されたと投稿した。「Tibo、この投稿の手順をほぼそのまま試した。その直後にAnthropicがアカウントを止めた。異議申し立ては出した。何が起きたのか一緒に探ってほしい」という内容で、Sottiaux氏や両社の開発者アカウントに助けを求めている。Sottiaux氏は「自分はAnthropicの社員じゃないから力になれない。でもハーネスで他社のモデルを使っただけで止められるのは妙な話だ」と応じた。

ここにClaude Codeの生みの親で、AnthropicでClaude Code部門を率いるBoris Cherny氏が加わる。返信はこうだ。「Anthropicで働きたいなら採用中だよ。ハーネスで他社のモデルを使ったこと自体でアカウントを止めることはない。ほぼ確実に、別のアカウント分類システムが誤って反応したんだと思う。調べるよ、報告ありがとう」。冗談めかした勧誘を挟みつつ、停止の原因を「モデルの選択」ではなく「自動検知の誤判定」だと明言した形だ。まもなくgetman氏のアカウントは凍結解除された。Sottiaux氏はCherny氏の誘いには乗らず、宣言通りCodexとChatGPT Workの全有料ユーザーを対象に利用上限をリセットしている。「GPT-5.6 Solは最高だし、Claude Codeのハーネスの中だろうとどこでだって使える。それに僕はどこにも行かない――その両方を祝って上限をリセットしたよ。楽しんで」という言葉を添えて(一連の経緯はPC Watchも報じている)。

会議記録や資料作成にAIを使う仕事のやり方は、もはや単一のツールでは完結しない。Claude Codeでコードや議事メモをまとめつつChatGPTで下調べをする、といった複数のAIサービスを一つの作業の中で行き来する運用は、開発者に限らずすでに日常の一部になっている。今回の一件は、その併用スタイルの裏側にある規約リスクを可視化した。しかも、これは「両社のトップが当人どうしのやり取りで丸く収めた、ちょっといい話」では終わらない。getman氏を止めた「アカウント分類システム」は、今回限りの偶発的な誤爆とは考えにくいからだ。Anthropicは2026年1月9日にも、Claude Codeへの「なりすまし」を検知する仕組みを強化したと、Claude Code担当のAnthropic社員Thariq Shihipar氏がXで明らかにしている。対象は、サブスクリプション向けの認証情報を使ってリクエストを公式のClaude Codeクライアントに見せかけ、本来API課金が必要な処理を定額プランで済ませようとするサードパーティ製ツール(OpenCode等)だった。このときもShihipar氏は「意図せず巻き添えで自動停止されたアカウントがある」と認め、修正を進めていると説明している。CLIProxyAPIも、Claude Code・Codex双方の認証情報を第三者ツールに預けて中継させる点で、この1月の取り締まり対象と技術的な構造が近い。getman氏の凍結が「モデルを変えたこと」ではなく「別のアカウント分類システムの誤反応」だとCherny氏が説明したのは、この継続的な自動検知の網に意図せず引っかかった可能性を示している――ただしCherny氏自身、どの分類システムかまでは名指ししていない。

業務の要になる作業を、認証情報を預ける非公式の中継ツールに委ねるのは避けたほうがいい。 CLIProxyAPIのような仕組みは、Claude Code・Codexそれぞれのログイン情報を第三者の中継サーバーに渡し、そこ経由でモデルを呼び分ける。Anthropic側から見れば、これはサブスクリプション認証の「なりすまし」に近い通信パターンであり、2026年1月の一件が示す通り、一過性ではなく継続的に強化されてきた検知の対象だ。個人の検証で使う分にはリスクは自己完結するが、日々の会議記録や成果物作成のように止められない業務にそのまま組み込むと、検知の誤爆一つで作業そのものが止まる。

もし止まったら、タイムラインの奇跡を待つより先に、公式の異議申し立て窓口を使うべきだ。 今回getman氏の凍結が解けたのは、たまたまCherny氏が経緯に気づき、個別に動いてくれたからにすぎない。同じ幸運が次も再現される保証はどこにもない。Anthropicはサポートページで、停止されたアカウントでもclaude.aiにログインし、「Submit an appeal」(異議を申し立てる)ボタンから申請できると案内しており、申請を受けて安全管理チーム(Safeguardsチーム)が停止理由を再確認するとしている。ただし同ページは「対応にかかる時間は、直近のローンチとメール量の増加により通常より長くなっている」とも明記しており、即日の解決を前提にはできない。業務の記録や成果物は、特定のAIベンダーのアカウント状態に依存しない場所(ローカル保存やクラウドストレージなど)に日常的に退避しておく発想を、対応の遅れを見込んだうえで持っておく必要がある。

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