
- TechCrunchがAI3社の乗っ取り点検手順を公開
- ChatGPTはMFA対応、Claudeはメールリンク式でMFA非対応
- セッションの可視性はサービス選びの安全指標になる
会議の録音データや文字起こしを、ChatGPTやClaudeに読み込ませて要約させている人は少なくないはずだ。だとすれば、そのアカウントに誰か知らない人がログインしていないかを、確かめる方法を知っているだろうか。
TechCrunchが2026年8月15日、ChatGPT・Claude・Perplexityのアカウントが乗っ取られていないか確認する方法をまとめた解説記事を公開した(記者は同紙のLorenzo Franceschi-Bicchierai氏、プロフィール)。ChatGPTは設定画面の「Active Sessions」で見覚えのない端末を個別にログアウトでき、多要素認証(パスワードに加えてスマホの確認コードなどもう一段の本人確認を求める仕組み)も使える。一方Claudeはそもそもパスワードを使わず、ログインのたびにメールでリンクが送られる方式のため多要素認証という概念自体が存在しない。設定の「Active sessions」から不審な端末を個別に終了できる点はChatGPTと同じだ。Perplexityはさらに簡素で、個別端末の一覧表示がなく、疑わしければ全セッションを一括でログアウトするしかない。
ここで見落としやすいのは、乗っ取られて漏れるものが「チャットの中身」だけではないという点だ。会議の録音を要約させていれば、社外秘の議題や参加者名、交渉の値決めまでが会話履歴として残っている。パスワードだけ使い回していなければ安全、という発想では足りない領域に、録音を預ける習慣はすでに踏み込んでいる。
一律に「MFAを設定しておけば安心」と勧めるだけでは、録音や文字起こしを預けるサービス選びの基準としては足りない。今回の3社を比べればわかる通り、乗っ取りに気づく手段の粒度がサービスごとにまったく違うからだ。ChatGPTは個別端末の識別と多要素認証の両方を持つ。Claudeはパスワードという攻撃対象そのものを消した代わりに、多要素認証という追加の壁は用意していない。Perplexityに至っては、そもそも「どの端末がログインしているか」を利用者に見せない設計になっている。
もっとも、パスワードを廃してメールリンク方式にしたClaudeの設計は、辞書攻撃や他サービスからの使い回しパスワード流出に対しては強いという見方もできる。攻撃者が突破すべき対象が「パスワード」から「メールアカウントそのもの」に一本化されているぶん、攻め口は絞られる。
それでも、メールアカウント自体が破られたときに何が起きるかを考えると、話は変わってくる。ChatGPTとClaudeは個別セッションを見て終了できるが、Perplexityは侵入に気づく手段が「全部ログアウトする」の一択しかない。録音データのように一度漏れたら取り返しがつかない情報を預ける相手を選ぶなら、パスワードの強さだけでなく、乗っ取りに気づける設計になっているかどうかを基準に加えたほうがいい。音声データを処理後に即座に自動削除する設計を選んでいるサービスなら、そもそも乗っ取られた時点で漏れる過去の録音自体が手元に残らないという逃げ道も成立する。アカウントの守り方を1つ増やすより先に、預けたデータがいつまでそこに残るかを確かめておく方が、実は効く対策かもしれない。
あわせて読みたい: